2009年7月にトムラウシ山で起きた遭難事故に関して、ヤマケイ文庫から「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」が、今年の8月に出版されました。この事故が起きてまだ3年しか経っていないのに、トムラウシ山の時と同じ旅行会社「アミューズトラベル」が、今度は中国の万里の長城で遭難事故を起こしています。 旅行会社の経営体質に問題があるのは言うまでもないでしょうが、登山愛好家としては同じような事故を起こさないように学ぶ必要があります。
トムラウシ山のツアー参加者は、報道されたような「軽装」しか準備していなかったのではなく、フリースやダウンまで持っていたようです。しかも、60歳代の高齢とはいえ、月に2,3回も山に登っている経験豊富な元気な人たちでした。しかし、彼らは、凍死してしまう状況にありながらダウンをザックに入れたままでした。ここに、遭難に至ったヒントがあるようです。
遭難した時は、気温が5℃前後で風速は15mから20mです。体感温度はマイナス10度で、彼らは、とても寒かったことでしょう。しかし、こんな状況下でアウタージャケットを脱ぎ、フリースやインナーダウンを着て、再びアウタージャケットを着るのには大変な勇気がいります。何故なら、アウタージャケットを一時的に脱ぐだけでも凍るような寒さに襲われるからです。しかも、団体行動していたら他人を待たせることになりついつい遠慮してしまうかもしれません。そうして知らぬ間に低体温症が進み、意識が朦朧となってくると、「着替えなくては」という考えも浮かばなくなるようです。
私は、北海道の山は異状に風が強いという印象を持っています。夏山では、これまで何度も「さむい!」と感じましたが、私も着替えたことは1度くらいしかありません。ちょっとした判断ミスが生死を分けるようです。山を登る人は、是非この本を読んでみて下さい。
アウターの上からでもフリース着ればいいのに。意味あるか分からんが。。
返信削除アウターは防風・防水の働きをします。フリースは下着とアウターの間に空気の層を作り保温作用を有します。下着、中間着、アウターの役割がそれぞれ異なっており、その順序が大切です。残念ながら、強風のもとではアウターの外にフリースを着ても暖かくはならないと思います。着替えるのが億劫になる前に早目に着替えるのが良いようです。
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